氏子の祭祀組織
- 役前(やくまえ)
- 頭人・両當屋・客人當・両休番の6人のことをいいます。
- 頭人(とうにん)
- 氏子の祭祀組織の中でまさに長であり、役前の中でもさらに厳しい修行と生活の制約があります。期間は1年間でその後は上官となります。
- 當屋(とうや)
- 一ノ當・二ノ當の2人のことをいい、青柴垣神事で神がかりする大事な役です。當筋16流(或いは18流とも伝わる)の家筋で15歳以上の長男に限定、親が準官以上、親族に3年間死者が出ていない、妻帯者であるといった中から「みくじ」によって決まります。期間は1年間でその後は準官となります。
- 客人當(まろうどとう)
- 境外末社の1つである客人社(大國主神)に仕える者で、33歳から56歳まで(頭人納めの年齢が60歳)の準官の中で一定の資格を持つ者より「みくじ」によって決まります。客人當に当たると頭人をおえるまでの4年間精進潔斎し奉仕を続けます。期間は1年間でその後は下席休番になります。青柴垣神事は當屋の祭というのに対し、諸手船神事は客人當の祭といえます。
- 休番(きゅうばん)
- 頭人となる為の修行期間で、上席・下席と一員ずつ存在します。それぞれの任期は1年間で客人當の次に下席休番、次に上席休番、その後いよいよ頭人となります。
- 上官(じょうがん)
- 頭人経験者。生涯「上官」として奉仕し、この中で数名は「世話人」として神事を取り仕切ります。
- 準官(じゅんがん)
- 當屋経験者で、神事では諸手船の乗船や青柴垣神事行列の祭器具持ちなどを奉仕します。
- 上準官(じょうじゅんがん)
- 上官と準官のこと。
組織図
Q&A
- 役前はものすごい精進潔斎、修行をすると聞きますがどんなことを行うのですか?
- 1年間(頭人は客人當から始まり4年間)毎日欠かすことなく、子の刻(真夜中)に潮掻(しおかき、海に入って心身を清めること)をして美保神社本社や頭人宮・末社等に参拝します。もし途中に他人と出会えば“穢れた"として再度潮掻からやり直します。これを日参(にっさん)といいます。
このほか、
・泊付きの出張で日参できなかった日は次の日に二度参り
・食事は1人で神棚の下で専用の膳・箸を使い鶏肉・鶏卵を食べない
・夫婦別床
・仏壇を閉じ、死穢等の一切を避ける
など、この外にも多くのしきたりを守りながら日々精進潔斎し、神事を奉仕するための準備をします。
※役前の6人は日参時に紋付き羽織、下駄を着用して港内を行き来し参拝をしています。カランコロンという下駄の音が聞こえてきた時は、役前に出会わないように注意してください。
- 頭人は祭祀組織の長ですが、具体的にはどのようなことをするのですか?
- まず、外の役前に比べて、より厳しい戒律があり、世俗との関わりを極力避けます。また、特に頭人の日参は口伝による「となえごと」など秘儀が多く、たとえ美保神社神職であってもそれを知ることは出来ません。そして頭人をおえる時はその秘儀は全て忘れなければならない習わしになっています。